2017-04-16

東京のヒリヒリする感じに惹かれる

Photo by Riho Nakamori

東京生まれ東京育ちの私は、大都会・東京から逃れられない。
どんなに満員電車がつらくても、冷たくて希薄な人間関係であっても、 排気ガスまみれで空気が汚くても、ビルにさえぎられて空が小さくても、人混みで街がごった返していてもだ。
その欲望はおそらく憧れとか希望とか、そういうポジティブで幸福じみたものではない。
東京のひりひりするところに、どうしようもなく惹かれてしまうからだ。
それは絶えず新しい何かが生まれ続けていることや、それとともに何かが消えてなくなること。
何者かになりたい人や夢を見続けている人がいることや、何者にもなれず夢をあきらめてしまった人が混沌としていること。
欲望を駆り立てるもので溢れかえっているのに、いつまでもその虚像に惑わされ続けてしまうこと。
空腹や性欲を満たしてもなお、溢れかえる虚しさ。
人生に見切りをつけたからこそ幸せになれた人の後ろ姿や、まだ見ぬ明日に希望を見出している人の眼差し。
恋焦がれて、嫉妬して、憧れて、悔しがって、イラついて、悲しくて、嬉しくて、なんていう風に、感情の体力勝負なところ。
そんなものたちがぐちゃぐちゃで一緒くたになっているのに、平然としていて無機質なビル群。
あらゆる欲望や思念が渦巻いていて、ひりひりする。
でもだから気になってしまうし、触れていたくなる。感じていたくなる。
わたしにとって東京はそんな街であり、だからこそいつまでも逃れられないのだ。

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